環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP またはTPP11)は、オーストラリア、日本など計11か国が加盟するアジア太平洋地域における経済連携協定です。加盟国には関税の引き下げが適用されます。
CPTTPの影響について
CPTTPによって、オーストラリアの赤身肉産業は国際市場での競争力の向上から恩恵を受けられると見込んでいます。本協定はオーストラリアがこれまでに締結した他の自由貿易協定から得られる利益をさらに補完するものです。
日本とオーストラリア産牛肉の関税のさらなる引き下げも大きなメリットです。従来、日豪経済連携協定(日豪EPA)を結んでいましたが、CPTPP締結後は両関税率を比較して、より低い関税率を適用する規定となっています。
EPA:Economic Partnership Agreement
輸入関税率の推移
年/月 | 日豪EPA | CPTTP | |
---|---|---|---|
冷蔵牛肉 | 冷凍牛肉 | 冷蔵/冷凍牛肉 | |
2018/04 | 29.3% | 26.9% | - |
2018/12 | - | - | 27.5% |
2019/04 | 28.8% | 26.7% | 26.6% |
2020/04 | 28.2% | 26.4% | 25.8% |
2021/04 | 27.6% | 26.1% | 25.0% |
2022/04 | 27.0% | 25.8% | 24.1% |
2023/04 | 26.4% | 25.6% | 23.3% |
2024/04 | 25.8% | 25.3% | 22.5% |
2025/04 | 25.3% | 25.0% | 21.6% |
2025/04 | 25.3% | 25.0% | 21.6% |
2026/04 | 24.7% | 24.1% | 20.8% |
2027/04 | 24.1% | 23.2% | 20.0% |
2028/04 | 23.5% | 22.3% | 18.1% |
2029/04 | 23.5% | 21.3% | 16.3% |
2030/04 | 23.5% | 20.4% | 14.5% |
2031/04 | 23.5% | 19.5% | 12.6% |
2032/04 | 23.5% | 19.5% | 10.8% |
2033/04 | 23.5% | 19.5% | 9.0% |
この結果、オーストラリア産牛肉は今後、日本で最も低い関税率で供給される牛肉となる見込みです。さらに、日本が適用している加工肉食品に対する関税(現在6~50%)は15年以内に撤廃される予定で、内臓への関税の大部分は10~15年以内に撤廃されます。また、生体牛の輸入に適用される関税も撤廃されます。なお、羊肉は日豪EPA以前より関税が発生していません。
日本以外の地域
カナダ
カナダでは、現在の35,000トンの牛肉割当(割当内関税0%)はそのままですが、上記の26.5%の割当関税は5年以内に段階的に廃止されます。さらに、オーストラリアの羊肉の2.5%の関税はEIFと呼ばれる発行時に即時撤廃される対象になります。
EIF:Entry Into Force
メキシコ
オーストラリアからメキシコへの貿易については、現在20~25%の牛肉への関税が10年以内に撤廃されます。現在10%の羊肉と山羊肉への関税は8年以内に撤廃されます。内臓への関税の大部分、生体(動物)への10~15%の関税はEIFで撤廃されます。
ペルー
CPTPPは既に締結されていたペルーとオーストラリアの自由貿易協定を補完します。本協定では、牛肉への11~17%の関税が段階的に廃止され、両方の協定に基づいてEIFにより羊肉と山羊肉への9%の関税が撤廃されます。ペルーは、オーストラリアの赤身肉の新しい市場機会を象徴しています。
その他
その他のCPTPP加盟国(ブルネイ、チリ、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、ベトナム)については、既存の二国間協定や地域協定により、すでに市場アクセスが改善されています。