私たちのハッピーな毎日にフィットする、ちょっとした食テクニックについて、女子栄養大学 生涯学習講師 春日先生にお話をうかがいました。
春日千加子 先生
女子栄養大学生涯学習講師
栄養学博士・管理栄養士
大学の栄養クリニックでの栄養指導をはじめ、専門学校の非常勤講師、自治体などの栄養教育、糖尿病専門クリニックでの栄養相談など幅広く携わる。女子栄養大学出版部「おうち太り・栄養不足・自炊疲れすべて解決!テレワークごはん」、「更年期からのコレステロールを下げる毎日ごはん」など執筆、監修。
幸せホルモン「セロトニン」とは?
気候や環境の変化などにより、心身のバランスがゆらぐという声をよく聞くようになりました。幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンへの注目が高まってきていると感じています。
セロトニンとは朝に分泌がはじまる脳内物質で、すっきり目覚め、心と身体をととのえてくれる働きがあります。さらに朝の日の光を浴びて朝食をとることで、セロトニンをしっかりと分泌できれば、1日を前向きにいきいきと過ごせます。また、セロトニンは、夜の寝入りをよくするホルモンであるメラトニンをつくる材料にもなるので、質の良い睡眠のためにも大切です。
セロトニンの材料になるのは、たんぱく質を構成する必須アミノ酸であるトリプトファンと合成に必要なビタミンB6です。特に、トリプトファンは体内で生成できないので、食事から摂取しなければいけません。牛赤身肉のオージー・ビーフは、もも肉100gが117kcal、脂質3.6g、たんぱく質を17.8g(※)と、低脂質で高たんぱく質、さらにトリプトファンやビタミンB6もとれる優秀な食材です。
最近なんとなくゆらぐと感じた時は、心ではなく体からのSOSかもしれません。麺やパンなど炭水化物、野菜に偏った食事が続いているなど、たんぱく質不足になっていないか、食生活をふり返ってみてはいかがでしょうか。
※出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
腸がととのえば、気持ちもととのう
幸せホルモン「セロトニン」の大半は、腸内でつくられます。腸をととのえる腸活で腸内環境がよくなると、セロトニンの生合成もスムーズになり、心身ともにごきげんアップにつながります。
腸活のためにまず意識したい食材が、食物繊維多く含む食材です。食物繊維の目標摂取量は、成人女性で1日18g以上(※)ですが、実際は不足しがちです。不溶性と水溶性どちらも含まれる野菜・きのこ・海藻類など色々な食材からとることを心がけましょう。
※出典:日本人の食事摂取基準2020年版
さらに、腸活をサポートしてくれるオリゴ糖が豊富な食材や発酵食品もあわせてとり入れましょう。オリゴ糖は玉ねぎやごぼうなどの野菜に多く、腸内の善玉菌であるビフィズス菌の増殖を促し、腸内環境を改善します。特に料理の万能食材となる玉ねぎはお勧めです。
日々の腸活と良質なたんぱく質を取り入れる食生活を心がけて、ゆらぎに強い心と体をキープしたいですね。
ととのう!たんぱく質と腸活テクニック
牛赤身肉のオージー・ビーフには、幸せホルモン「セロトニン」の材料である良質なたんぱく質であるトリプトファンが豊富に含まれています。セロトニンの分泌を促すには日光に当たることが大切。朝のたんぱく質摂取がポイントとなります。
最近ゆらぎがちだなと感じたら、朝ごはんに心も体もホッとするスープはいかがでしょうか。シンプルな材料と作り方のスープは、調理負担が減るので、家事に対する気持ちも楽にしてくれます。
Inner Make Recipe
フライパンにオリーブオイルを熱し、薄切りにした玉ねぎをよく炒めます。オージー・ビーフ(薄切り)を加えさっと炒めたら、水、塩を加えてひと煮立ちさせます。器に盛り、パセリをふりかけ、チーズトーストを添えます。
お肉の旨味でコンソメいらず。具沢山スープは、ホッとする温かさはもちろんのこと、食べ応えがあるので、自然とゆっくりとした食事の時間を過ごすことができます。
基本の作り方を覚えたら、あとはケチャップを加えてトマト味にしたり、ハーブを加えてみたりと味変も自由に楽しみましょう。
心に余裕がない時こそ、日々の食べ物を見直し、体の中からキレイになるインナーメイクのチャンスです。気持ち朗らか美人をイメージしながら、自分の体と向き合うちょっとした時間が、明日の健康へと繋がります。