私たちのハッピーな毎日にフィットする、ちょっとした食テクニックについて、女子栄養大学 生涯学習講師 春日先生にお話をうかがいました。
春日千加子 先生
女子栄養大学生涯学習講師
栄養学博士・管理栄養士
大学の栄養クリニックでの栄養指導をはじめ、専門学校の非常勤講師、自治体などの栄養教育、糖尿病専門クリニックでの栄養相談など幅広く携わる。女子栄養大学出版部「おうち太り・栄養不足・自炊疲れすべて解決!テレワークごはん」、「更年期からのコレステロールを下げる毎日ごはん」など執筆、監修。
冷えや疲れは、鉄不足のサインかもしれません
日々の寒暖差や、朝夕の寒暖差が大きい季節には、体調を崩しやすい人も多いのではないでしょうか。手足の冷えにはじまり、疲れやすいなどの体の不調を感じたら、体内の鉄不足が影響しているかもしれません。
鉄は赤血球に含まれるヘモグロビンの材料です。ヘモグロビンは体のすみずみまで酸素を運搬する大切な働きがあります。鉄が不足するとヘモグロビンの合成が低下し、体のすみずみまで酸素が届かず貧血になりやすく、疲労感、頭痛や息切れなどの体の不調のほか、細胞で熱を生み出す力が弱くなるので、冷えの原因にもなります。
体の基本的な機能を担う「鉄」ですが、吸収率が低く、不足しやすい栄養素のため、特に意識して食事から補給することが必要です。オージー・ビーフは、吸収のよいヘム鉄を豊富に含んでいます。非ヘム鉄とは異なり鉄ボルフィリン複合体に囲まれているため、胃や腸に対する刺激性が少なく、さらにヘモグロビンは、鉄だけでなく、たんぱく質とも結合しているので、鉄とたんぱく質と一緒にとることができる“タイパ(タイムパフォーマンス)”のよい食材とも言えます。
巡り栄養素「鉄」の吸収率アップテクニック
鉄は、大切な栄養素ですが、女性はほとんどの年代で1日に必要な推奨摂取量を満たしておらず、特に月経のある人は、慢性的に鉄不足なため、日々の食事で補うことが大切です。
オージー・ビーフに多く含まれるヘム鉄は、野菜などに含まれる非ヘム鉄よりも吸収されやすいことがわかっており、しかも、良質のたんぱく質も合わせてとることができます。
特に手足の冷えや疲れが気になる時には、意識してオージー・ビーフのような牛赤身肉を食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
さらに、緑黄色野菜や果物などに多いビタミンCは、鉄の吸収を助けてくれます。鉄の吸収率アップのテクニックとして、牛赤身肉に小松菜やブロッコリーを合わせてみたり、ちょっとした食材の組み合わせ次第で吸収率も高まるので、楽しく料理しながら、巡りの良い体を目指しましょう。
ポカポカ食材と鉄!W温活をはじめましょう
体を温めるとされる“ポカポカ食材”として、シソ、ねぎ、しょうがなどの薬味野菜やかぼちゃ、人参、玉ねぎなどがあげられます。しょうがに含まれるジンゲロールという成分の一部は、加熱するとショウガオールに変化します。このショウガオールが増えるほど、体を温める力と持続性が増すという報告があります。肉を焼く時に生姜を使ったり、温かい紅茶にしょうが入れてジンジャーティーにしたり、調理法や食温度も意識するとよいでしょう。
忙しい時はついつい、簡素なメニューになりがちです。丼物や麺類などの単品でも食材の組み合わせを工夫したり、具材の種類を増やして、栄養バランスを整えましょう。「ポカポカ食材のっけの温麺」は、いつも家にある食材で簡単にできるので、冷え対策メニューとしておすすめです。
Inner Make Recipe
フライパンに少量の油を熱し、オージー・ビーフ(薄切り)とねぎ、すりおろしたしょうが、めんつゆを加え、炒め合わせます。温かいそばにのせて、お好みにで七味をふりかけます。
オージー・ビーフには、冷えの改善を期待できる鉄が豊富に含まれます。ねぎには、血行促進が期待できるアリシンが含まれます。加熱したしょうがには、冷え解消が期待できるショウガオールが多く含まれます。さっと手軽に作れるのはもちろん、温かいスープで食す麺料理は、食べ応えも温かさがあり、まさに一石五鳥のメニューです。
手先の冷えは実は栄養不足のサインかもしません。食材の組み合わせを工夫して、体の巡りを高めるインナーメイクのチャンスです。ポカポカ美人をイメージしながら、自分の体と向き合うちょっとした時間が、明日の健康へと繋がります。